尾形大作の名曲「無錫旅情」をきっとご存知かと思います。この歌に歌われている街、それが無錫です。湖面がきらきらと輝き、抑揚ある美しい音楽が聞こえてくる、そんな「太湖の真珠」です。

無錫は江蘇省の南に位置しています。地理的条件に優れているだけではなく、美しい自然景観に恵まれた、中国の歴史や文化に溢れる素敵な街です。中国で3番目に大きな淡水湖である太湖の水は、昔からこの一帯に住む人間を養い、さらには無錫でしか味わえないオリジナリティに富んだグルメを産み育ててきました。なかでも「太湖三白」と呼ばれるシラウオ、カワヒラ、エビは、ここに来たら食べないわけにはいかないご馳走の一つです。ほかにも「無錫排骨」という、スペアリブを醤油とスパイスで柔らかく煮込んだ料理も、その香りと味、そして美しい見た目により、日本から来た方々に非常に人気があります。それだけではありません。油麺筋(お麩の油揚げ)、水蜜桃、馬山楊梅、無錫小籠包、そして具材なしのシンプルなタンメンである拱北樓陽春麺、聚豊園腐乳などなど。無錫には珍しく面白いエピソードに満ちた特産品がいろいろあり、みなさんが足を運んでその物語のページを繰ってお楽しみくださるのを待っています。

無錫は「優しさと水に溢れる」街です。街のなかを絵のように美しい京杭大運河が流れ、太湖に突き出た半島黿頭渚では春になると桜が咲き誇ります。ほかにも、禅の雰囲気漂う霊山や、古めしく優雅な恵山古鎮など、無錫はこんなにも名所に恵まれているのです。さらに無錫には、近年オープンしたばかりの「三国城」や「唐城」など、映画やドラマのロケ地もあります。宋代の詩人蘇軾は『念奴嬌・赤壁懐古』に「江山如画,一時多少豪傑」という詩を残しています。「絵で描いたような美しい山河、ここにそのときそのときで、どれほどの英雄豪傑が現れたのだろうか」。無錫にいらっしゃれば、古い軍船でのんびりと煙波縹緲の太湖を巡り、雪のようにゆらゆら舞い落ちる桜を楽しむことができます。美しい山水の景色を愛でながら、中国の古典的名著に記されている歴史や物語の世界が、まるで大波のように押し寄せてくる感覚を味わってみませんか。