秘境竹海 夏の山林清凉の旅

溧陽は江蘇常州の西南部に位置し、中国でも名高い天目湖と南海竹海がある。

山に囲まれ、山全体が緑に囲まれ、湖面には碧く輝いている。曲がりくねった道が山に向かって伸び、竹海の中に身を置くと、大自然に抱かれた心地よい感覚となる。

天目湖

南山竹海と天目湖が持つ景観はまったく違うものだが、多くの中国人はこの二つの景観を習慣的に合わせて紹介することが多い。天目湖は「江南の真珠」、「緑色仙境」などと言われ名高く、中国国家保護の一級水源となっており、この良質の天然の水源が、竹林を健康に繁殖させてきた。天目湖は厳密な定義上は湖ではなく、南北に伸びる山峡に作られたダムである。中国では天然水源により作られたダムで育つ魚は美味しいと評判で、多くのグルメな人達を惹きつけている。ここで作られる砂鍋魚頭という魚介料理は、臭みがなく油もあっさりで、スープにすると白く濃厚な味わいとなり、多くの旅行者を常州に惹きつける一つの要素となっている。

南山竹海

中国でも竹や竹林はありふれた植物ではあるが、山を越えて空を遮るような竹林は目に入ったら忘れられなくて、こんな絶景で心が動くだろう。映画の<グリーン・デスティニー>の竹海対決のシーンや、<カンフー・パンダ>の中で繰り広げられる竹海のシーン等、広大な竹海の中に身を置くと、その自然の魅力と迫力にきっと驚きを覚えるだろう。

南海竹海は3.5万アールの広大土地に翠竹が広がり、風景はまるで山水画に見え、「天国南山」「幻夢竹海」と名高い。

竹海に足を踏み入れると、爽やかな微風、そして静かな竹葉が擦れ合う音だけが聞こえ、夏の暑さを半減させてくれる。竹海を足だけで移動するのは大変な為、ミニ路面電車や、ケーブルカー、ロープウェイ、水上筏等の交通手段が用意されている。

竹文化博物館

中国では「肉が無い食事も我慢できるが、竹を植えない、使わない生活はできない、肉が無ければ人は痩せるだけだが、竹が無いと人は俗物となる」という言葉があるほど、竹はとても重要な物になっている。西洋人が持つ中国古代文明のイメージの中にも竹は大きな存在感があり、中国古代文明を「竹文明」と呼ぶ事もある。博物館内では、翻黄竹刻や黴派竹刻、嘉定竹彫、金陵竹彫等の竹を使った芸術品が展示されている。

竹林深部に住むパンダ

竹海景区の中にあるパンダ館には、2頭の無邪気で可愛いパンダが飼育されている。「華麗」と「星安」と名付けられたこの可愛い動物の毎日の日課は2つだけ「食事」と「睡眠」だけである。2頭は毎日10時間ほど眠るという、天国のような生活をしている。

座って寝て、しゃがみこんで寝て、仰向けに寝て、時々起きると手すりの上に座りながら、丸い体でバク転してみたり、そして竹を手に取ると、人が杖を持つように上手に掴みながら、竹の柔らかい部分を美味しそうに食べている様子は、知らず知らず時間を忘れて丸々と太った2頭のパンダに視線が釘付けになってしまうだろう。

竹海は濃緑で広く神秘的な雰囲気に身を置けば、心の中から大自然に対する敬意が溢れてくる、と同時に自分が小さい存在だと感じ、夏の暑さは段々と消えてくる心持ちになる。南山竹海に引き寄せられる多くの人々は夏日にここで、大きく深呼吸し、心身を解放し自然と一体感を味わい、温かみを感じ取る。