黄金色の南京を満喫

気温が急に下がり、空気にはっきりとした寒さが浸み込んで、季節の移り変わりが感じられる。時間が経つにつれて、『観光情報』誌も2021年の最後の取材を迎えてきた。今回の取材地は、南京という古い歴史を持ちながら熱烈である都市に決めた。町中に濃かったり浅かったりした木犀の香りが漂っているこの季節の南京は、大いに人々に魅了させる。風景も日々変化して、木々はすっかり染まり、町を華やかに彩り、多くの古い建物や名勝古跡がその中に映えて、引き立てられて、油絵のように優雅である。人々は、よい天気に乗じて、散歩に出かけたり、静かに本を読んだりして、この町の静かで優しい空気に包まれる。

古典の趣に酔いしれ、明孝陵の彩りを拾う

明孝陵といえば、「中国古代最大の帝王陵墓の一つ」、「明清王朝の第一陵」、「世界的な文化遺産」など生れつきの栄誉は付きまとっているが、今回、これら公式認定に注意を払わず、単に明孝陵の晩秋から初冬かけての絶景をを探し、感じる。朝早く、ちょっと涼しい寒さの中、透き通った空気を呼吸しながら、程よい日差しを浴びて、明孝陵に着いた。

明孝陵景勝地の入り口は7個もあり、最も美しい600メートルの石象路へ直行するには、5番の入り口が最寄りである。今の明孝陵に入り口がこれほど多いが、明の時代に、唯一の入り口は下馬坊だったという。参拝者はそこから神道に沿って大金門まで行き、碑亭、神道、文武方門、碑殿を経て、最後に祭祀が行われる享殿に到着する必要がある。

昔の人々が踏みつけた石畳の道を歩き、金陵一絶(唯一無二)と言える明孝陵石象路に着いた。数回の風や霜に耐えられた後、両側の秋葉は緑から黄色に変わりかけている。最もあでやかな色をまだ迎えていないが、黄色と緑が交じり合った葉が陽差しに輝いて、まだらな木の影が路面、石獣に落として、静かで美しい。ゆっくりと静かに神道を歩き、石獅子、駱駝、獬豸、石象などがペアとなって跪いたり、立てたりして、沿道をうずめて迎えるのを見て、目を上げると、純粋で真っ青な空であり、600年前の晩秋初冬もこんな美しさがあるであろうかと思わず想像を馳せる。

知らないうちに、文武方城まで歩いて来た。赤の建物、黄色の軒先は秋葉に引き立てられ、一層立派で典雅に見える。碑刻に触れたり、台座遺跡に立ったり、古木を仰いだりしたとき、蓄積された後の時代感の味わい深さと物静かさが自然とわき起こった。途中で、かわいい精霊にも出会った。梅花鹿が群れになって餌を探したり、猫達がのんびりと散歩したりして、とても快かった。

驚喜を見つける重宝の地老門東

南京は骨董店のようで、常に多くの驚きと喜びが隠れていると言われているが、この感じは老門東を観光した後ますます強烈にしてきた。午後、老門東に来て、金陵老城南の秋冬の情緒を深く体験した。歳末に近づいたせいか、新旧交じり合う歳月感はここで格別に濃厚である。

「青磚小瓦馬頭墻、回廊掛落花格窓」、古風の街と路地、茶色のまだらなレンガと瓦、木製の彫刻された窓格子によって、ここは所どころに伝統的な古典の趣が満ちている。漢服を着ている少女達が手をつないで行き来して、遊び騒ぐ声が老門東の典雅の景色に溶け合っているため、人々はまるで古代の繁華街にタイムリップしたかのようである。道端の彫像、旧式の自転車、馬頭ブランドの箱などは、レトロな雰囲気を漂わせて、人気のフォトスポットとなっている。

最も面白いのは、老門東の曲がりくねった古い路地を散歩するに越したことがない。行き詰まると道が開けるような驚きがあるからである。更に重要なのは、これらの路地には、グルメ・軽食の老舗、特色ある文化創意商品の店、ネット人気喫茶店、カフェ、無形文化遺産手作りショップなどさまざまなユニークで特色ある店が軒並んでおり、市井の人間味と芸術創意が生き生きと溶け合って、次々と現れる驚きを生み出し、淡々とゆったりとした生活の美しさが流れ出る。

グルメと楽しみを求めているうちに、知らず知らずに夜が訪れた。夜に入った老門東は、古い金陵の雰囲気が一層増した。吉祥で典雅の提灯が灯り、点在しているネオンが街区全体を綺麗にして、百年の歴史を一気に照らしているようである。徳雲社での笑い声、街中の食べ物の香り、そしてバーでの音楽などは、老門東の夜を活気に満ちたものにしている。

読書を楽しむ南京の文学的気質

南京は、古くから「天下文枢」、「東南第一学」の称号があり、2019年、「世界文学都市」にも選ばれた。南京にとって、文学は、ある分野での成果であるだけでなく、この都市の文化的基盤と気質を育んでくれた栄養素でもある。翌日、私達は、南京で学術的で文芸的な気質がある鼓楼区に行った。頤和路を散策しながら、金陵民国時代の昔のことに思いを馳せ、先鋒書店で人々が静かに読書している美しい姿を記録した。

この季節の頤和路には色とりどりの落葉もなく、道路は静かで清潔である。西洋風の洋館は空高く聳えて日を遮っているプラタナスの下に隠れているが、昔の繁栄がかすかに見える。一般に公開されている一部の建物に足を踏み入れると、とても情緒のあるレストランとホテルであることが分かった。頤和路の果ては先鋒書店であり、そこで人々は読書に夢中になっている。窓内の読書の姿と窓外の車の流れは、特殊な風景を織りなしている。

晩秋の南京師範大学随園キャンパスにある百年銀杏がとりわけロマンチックで魅力的だと聞いて、名を慕って訪れたが、コロナ対策でキャンパスが一般に公開されていないため、むだ足を踏んだ。少し残念であった。その後、鳳凰雲書坊という24時間読書空間もチェックした。そこの静かで自由な読書環境に感動させられた。読書エリアに入いると、壁いっぱいに格調あるポスターは文芸的な雰囲気を漂わせている。書店内にさまざまな本が整然と並んでおり、自由に選び、読むことが可能。気怠そうに隅にこもり、本のページをめくる音を聞いていると、午後はすっかり素敵になってきた。読書は、すでにひっそりと南京の人々の生活スタイルになっている。