日本考察団による今秋の多彩な旅行記ー江蘇省常州市で過ごした悠々自適なひととき

2022-10-20

急に降り出した雨は上がり、急に肌寒くなったと感じたら、もう街中が秋色に染まったことに気付く。この頃、HIS(愛智思)株式会社、上海ジャピオン(株)日本旅行中国グループ、上海『Whenever』(月刊誌)などの中国駐在の日本観光業者やメディアからなる考察団は、この金木犀の香りが漂う季節に、江蘇省常州市に訪ね、二泊三日の観光コースの現地調査の旅を始めた。

今回の旅は今までとは違い、テーマを特別に設定したコースである。まずは、淹城遺跡に足を踏み入れ、古城の輝かしい過去の話に耳を傾け、歴史の色彩を味わう。昼は運河の街を散策し、夜は遊船に乗って、この街に染み渡った運河文化を体感する。また、ハイキングをして一面に広がる竹の海を眺めたり、湖の美景を楽しんだり、温泉につかったりし、天目湖観光リゾート地でスローライフを楽しみ、のんびりと大自然に癒される時間を過ごす。

尋ねる・古城の昔話

常州市にある「春秋淹城」は今日まで2700年を超える歴史を有しており、東西方向は850メートルで、南北方向は750メートルで、総面積は65万平米に達する。「三河三城」という河と城は、お互いを囲む同心円のような建築形式であり、古代中国で建築された遺跡としては唯一無二の存在となっている。考察団の旅はこの淹城春秋遺跡公園から始まり、千年も前の先人の知恵を仰ぐ。その後、観光カートに乗り、淹城の野生動物の世界を巡って、近い距離で自然にある野生の美しさを味わう。パンダは日本人に人気の動物であるが、淹城の「レッサーパンダ」も可愛くて、みんなの「乙女心」がくすぐられる。考察団の代表たちは、ここには歴史感が満ち溢れ、緑が生い茂り、勉強やレジャーなど親子旅行にぴったりのいい場所と称賛した。

鑑賞する·運河の秋色

 大運河は雄大で勢いよく中国国内を横切る。江蘇省にも姿を現し、沿岸の都市を賑やかに養っている。川沿いに作られた青果巷は百年の間に100名以上の進士、詩人、画家、医学者などの名だたる大人物を育てあげ、常州市の歴史と文化の真髄が詰まっていると言える。考察団はまず、中国語の発音記号であるピンインの重要な考案者の一人として有名な「周有光宅」を訪ね、その経歴に触れた。その後、青果巷の石板道路に沿って、今昔を包容する骨董品の小店から墨の香りがする書院まで散策しながら、ここに残された歴史を探し、文化の雰囲気を味わう。日が暮れると、運河の両岸に数え切れないほどの灯火が灯され、装飾のあかりは鮮やかな帯のようにうねうねと曲がりくねっている。大港で遊船に乗船した考察団の代表たちは、昼と違う視点で常州の夜を楽しんでいた。

翌日、いい天気に恵まれた。考察団は朝の日光を浴びながら、紅梅公園に入った。まだ秋は浅いため、水杉や銀杏には夏の緑が残っている。もう少しすれば、銀杏の葉は金色に変わり、落葉は道路を黄金の道に染まる。考察団は、その時の紅梅公園はこの観光コースに一段と花を添えるようなスポットとなると期待しているようである。

紅梅公園の背後にあるのは中国四大叢林の一つ「天寧寺」で、高さは153.79メートル、全13階建ての天寧宝塔は中国宝塔の王者だと言われている。塔内には東陽木彫、揚洲漆器、常州乱針繍、恵安石彫など手工芸品や瑠璃仏像などの芸術品が飾られている。考察団は頂上に登り、運河と常州の景色を一望した。芸術品といい、頂上からの景色といい、思う存分に楽しめると絶賛した。

(株)日本旅行中国グループ総経理の谷口和夫氏は考察内容に基づき、観光コースの開発について自分の見解を以下のように共有した。「(観光客は)まず紅梅公園、その後天寧寺の順番で回ってもらったほうがいい。理由は、紅梅公園の文筆塔と天寧寺の宝塔は、遠くからお互いに見え、小から大へと徐々に変化していく方が、より景色に没入ができ、いい観光体験ができるからだ。」

吟味する·粋な生活

昼休憩を少し挟み、考察団は一旦常州の市街地を離れて、「美しい虹の道路」を持つ溧陽を訪ね、緑が溢れる旅が始まった。最初の目的地は「天堂の南山、夢の竹海」と讃えられている南山竹海である。竹林を通り抜ける路面ケーブルカーに皆は興味がそそられ、スマホを向けてこの洒落た場面を写真に収めた。山頂に辿り付くと、一同は静寂で穏やかな鶏鳴古村で古い住宅や通りを見学し、竹文化博物館で竹にまつわる技を味わった。みんなが驚いたのは、この竹海になんと2頭の可愛らしいパンダが生息していることである。淹城から南山竹海、そしてこの「パンダ遊び」までできる旅は、なんと行く価値のある旅なのだろうか。

この日の観光は、ホテルにチェックインしたら終わりだと思っているだろう。宿泊する涵田半山温泉は山に広がる竹の林の中に位置し、江蘇省で最も美しい温泉と言える。ここはまさに、「夜の観光」最大の売りとなるだろう。考察団の代表たちは日本で様々な温泉を体験されてきたようだが、ここのように、山に囲まれ、温泉につかりながら、天目湖の景色を眺め、竹林の清らかな風に当たる体験は、別格に感じただろう。

最終日、考察団は天目湖の景色を見に行った。遊覧船に乗り込み、観光の核となる景勝地「天目湖山水園」を楽しんだ。緑色に澄んだ湖水は延々と伸びる山々と相まって、絶妙な景色となっている。湖心にある標高110メートルの龍興島に降り、天目湖の際限無い景色を見渡した。その中でも団員たちの最もお気に入りの場所は中国茶島で、中国茶文化苑と天下茶館を見学している時に、歴史の長い中国茶文化に大いに興味を示した。時間に余裕があった場合、江南茶村の茶室の一角で、溧陽白茶を堪能するのも良さそうだ。その後、『茶泉の思いは溧陽にある』というパンフレットをめくりながら、この数日の旅を回想し、今回の旅に素晴らしい終止符を打った。

終わり

中国観光なら、自然風景や歴史・文化はいつも日本の観光客の注目の的となっている。ここ数年で流行っているプチ旅も江蘇省の近郊旅行や家族旅行に多くの潜在顧客をもたらした。江蘇観光(日本)プロモーションセンターが主催した今回のイベントでは、常州市の古跡、歴史街区、溧陽の自然風景など個性ある観光資源を整合し、テーマのある、そしてその深みを感じさせる観光コースを練り上げることができた。考察団の代表たちは観光専門家の視点で江蘇の文化観光資源を自ら体験・分析し、今回の考察活動を高く評価した。プロモーションセンターは今後も引き続き、優れた観光コースの開拓と整備に専念し、日本人観光客のニーズによりフィットするハイレベルのオーダーメイド観光コースを作り上げ、江蘇省の暮らしの美学を伝え続けて行く。