歳月の伝奇、老舗に蓄積された百年記憶

老舗は歳月が醸し出したお酒のようで、時間が経つほど香りが増す。これらの店は歴史の流れの中で、黙々と人々の生活に付き添い、何代かの人々の独特の記憶に刻まれ、多くの伝奇も成し遂げている。老舗は、その土地の伝統文化を知る上で重要な窓口だと言える。

興化は、江蘇省泰州市に位置し、2000年以上の歴史を持つ詩画水郷である。長い歴史を持つ興化は、今でも多くの伝統的な百年の老舗が残っている。これらの老舗は、伝承する中で、この町の風土人情と歴史的変遷をその目で見てきた。興化を旅行するなら、これらの老舗に足を踏み入れ、文化の蓄積を体験し、百年の記憶に耳を傾けるのもよいであろう。

百年老舗薬屋「上池斎」

金東門老街は、興化で千年の歴史がある古い通りで、東城門外の大通りを主軸とし、魚の骨のような街並みを形成している。道端に店舗が立ち並び、温もりの人間味に満ちている。道沿いに多くの明と清の時代に建てられた古い建物があり、百年老舗漢方薬店上池斎はここにある。この古い建物は清の康煕年間に初めて建てられ、江蘇省級の文物保護建物である。

薬店に足を踏み入れると、強い薬の匂いがしてくる。大きな金メッキの文字が刻まれた木製の掛け看板は、店の設立の初期段階に作られたもので、すでに300年近くの歴史があり、「上池斎」の歴史の立会人になっている。店の配置は古風が残され、彫刻が施されたドアと窓、黒い漆塗りのカウンター、木製の引き出し、竿ばかり、研磨トラフ、薬を搗くためのバケット……薬店のすべてが依然として伝統的な様式と風貌が保たれて、古めかしい。

ここには常に診察するベテランの漢方医がいる。養生薬膳を味わい、深い漢方文化を学習・体験することができる。店には、湧き続ける稀な泉があるそうで、伝承されてきた百年医薬文化のように流れて止まらない。

淮揚老舗レストラン「養和園」

地域の違いによってその土地ならではの人ができる。興化は田園式の文化古城であり、質素で温厚で、上品で才能がある興化の人々の性格は、その飲食にも影響している。興化に来てこの地方ならではの美食を味わうなら、150年近くの歴史がある淮揚老舗レストランの養和園は、行くことに値する美食の目的地となっている。

養和園は清の光緒二年(1876年)に創立されて、すでに145年の歴史もある。古くから現在に至るまで、養和園は伝統的な特徴を維持しており、朝食は安くて美味しく、昼食と夕食は料理が豊富である。調理方法に、揚げる、あんかけ、さっと炒める、炒める、手早く炒める、煮込む、、焼く、とろ火で煮込む、煎る、煮る、蒸すなど十数種もあり、アヒルの丸焼き、豚足、東坂肉、田ウナギの肉炒めなどの定番料理が作られている。

養和園は淮揚料理の伝統を継承・発揚して、更に興化料理の特色を体現しており、興化特色の食文化の歴史を見届けてきた。今でも毎日客でいっぱいである。更に特筆すべきは、百年の発展の中で、養和園は淮揚料理の料理人をたくさん育成して、淮揚料理の発展に計り知れない役割を果たした。

百年老舗風呂屋「仿簾泉」

「早上皮包水、晩上水包皮(朝は朝のお茶を食べる、夜はお風呂につかる)」は、興化の人々の快適でのんびりした生活を如実に描いている。この伝統的な生活方式はここですでに千百年も続いている。「皮包水」とは朝のお茶を食べることで、「水包皮」とはお風呂につかることで、興化に来たら、泰州の朝のお茶を味わうほか、お風呂に入って楽しむこともできる。

興化の公共風呂場は非常に早く登場した。清の乾隆年間に初めて建てられた仿簾泉は百年の歴史がある老舗風呂場で、西門大街冷家巷の西側にある。時代の変遷、経営権の譲渡を経て、仿簾泉は依然として伝統的な入浴の流れを保ち続いており、数多くの常連客の感情を繫ぎ留めている。浴室は大体着替え休憩所と入浴所の2パートに分けられ、休憩所では、皆さんがベンチに横になって、お茶を飲んだり、おしゃべりしたりして、とても賑やかである。今、老舗「仿簾泉」は興化の人々の生活の中で依然としてかけがえのない役割を果たしており、ますます興化の人々の「浴楽園(お風呂の楽園)」となっており、古い西門老街の独特の風景にもなっている。

老舗は興化市井の賑わいの縮図で、一種の気持ちと思い出も乗せている。好奇心を持って、人物事跡や逸話の中で、興化の老舗の背後にある伝統文化を感じ取ろう。