半山書局で人生いろいろを遍歴

 本屋さんは街の孤独のための出口であり、良い本屋さんは街の魂であると言う人がいる。常州では、半山書局は忙しく往来する人々の流れに隠れた長閑な一隅であり、文学青年の魂の渡し場のような存在である。

 半山書局は常州新世紀百貨店の14階から16階に位置しており、「天国に一番近い本屋さん」と呼ばれている。「半山」と名付けられたのは、北宋時代に当時の常州知州であった王安石を記念して建てられた「半山亭」遺跡が現在の新世紀百貨店の位置にあるからである。書局のオーナーも歴史伝統に魅せられた文学者であったため、デザイナーである陳威憲氏が書局の名を「半山」に、「あえて世間に身を隠す」本屋を設計したのである。

 半山書局に入ると、高さ12mの本の壁が出迎えてくれる。巨大な本棚が並ぶ天井の高い空間には、1万冊近い書籍が収められている。見上げれば、幾千もの世界が潜んでいる本の波が広がり、思わず敬服してしまい、目から鱗が落ちるような思いがする。

 本の壁に隣接しているのは、最も特色のある「チェック」のような36部屋で、いずれも幅3メートル、高さ2.2メートルの独立した書斎である。これらの「チェック」はただの本を読む場所ではなく、陶芸、絵画、子供のための学習系手作りゲームなど用途別に分けられている。遠くから見ると、36部屋の「チェック」は、36本のマイクロ映画が放送されているようで、それぞれのストーリーと人生のいろいろが上演されている。

 半山の14階は生活美学の教室で、クリエイティブなインテリア、健康的な食事方法、美容・ケアなど揃っている。15階は人文とソーシャルの場で、中国や海外の巨匠による人文・経済に関する書籍や、さまざまな文化創意手作り工芸品などが展示されている。16階は芸術とデザインのホールで、本物のアナログレコードや各国の建築デザインの名作が楽しむことができる。

 「中国で最も美しい書店週間」のイベントにおいて、常州新世紀半山書局は「中国で最も美しい書店10選」に選ばれた。受賞の際、「半山書局はおそらく空に最も近い書店であり、中国でこれまで最も高い書店です。半山書局はただの本屋のみならず、人・空間・イベントを一体化した、想像力と自我を表現する店でもあります。知識の海、文化的な公共空間と文学の知的な薀蓄を持つ読者の集まりの場である半山書局は、文化と美学の見張りものとして、読者とともに成長し、流動的な文化の中で探求し、前進していくのです。」と言われている。

 現在の都市生活者は、二度と半山亭を訪ねることができないが、半山書局で詩的な人生を反芻することはできる。