仙気の漂う連雲港、神話の地めぐり

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中国には古くから数々の珍奇な神話や伝説が伝わっている。連雲港は、神話から生まれてきた都市である。ここには孫悟空が誕生した花果山、二郎神の故郷・灌南、三龍戯水の中の漁湾、「水晶の都」東海などがある。この夏は仙気の漂う連雲港で神話の地を巡ろう。

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連雲港は、江蘇省の北東部に位置し、山と海に囲まれた温暖な気候で、古くから「東海名郡」として知られている。その地理的な優位性から、変化に富んだ魅力のある風景が育まれており、不朽の伝説で一層神秘的で不思議な雰囲気が漂っている。この海と山に囲まれている街に来て、夏の涼しい神話秘境を気軽に歩こう。

花果山

「西遊記」は中国古典四大名著の一つであり、孫悟空の生まれ故郷とされる「花果山」は連雲港にある。花果山は、東側は黄海、西側は平原に隣接しており、古来より「東海第一勝境」と呼ばれる。奇岩や海景、古跡が点在し、斉天大聖美猿王の伝説的な物語が、この山を一層神秘的な色合いを増している。

真夏の花果山は、緑豊かな山とゆっくりと流れる雲、涼しい風が吹き抜けて夏に良い避暑地である。水簾洞の中に清らかな泉が流れ、入口の滝はなめらかに滑り落ち、朦朧とした水蒸気が涼しく風通しの良い感じを与える。玉女峰の頂上では雲海が果てしなく広がり、山々が微かに隠れている。まるで仙境のようである。山を散策していると、眉間に賢さがこぼれる小猿が枝から枝へと飛び移り、まるで大聖が帰ってきたかのようで、その自由奔放な姿は、西遊記を思い出させる。

漁湾

漁湾自然景勝地は連雲港市雲台山の南東に位置し、滝や断崖絶壁、奇岩が重なり合って形成し、自然景観は奇抜で美しい。200年以上前の漁湾はただ雲台山脈から海に伸びる島に過ぎず、たまに漁船が停泊していたが、海が東に引き、山の麓が徐々に肥沃な田畑に変わっていった。

漁湾には、伝説の中の老龍潭、二龍潭、三龍潭があり、そのうち三龍潭の水は魚が数えられるほど澄んでいて、滝が崖からまっすぐ落ちており、まるで天の川が逆さまにぶら下がり、ぼたん雪がひらひらと舞い落ちるように、雄大で自然で清らかなのである。山の中腹にある蔵龍洞の入口には水のカーテンがぶら下がり、洞窟内には20〜30人が収容できる。水煙に包まれ、人影が微かに見え、まるで夢の世界に入り込んだようである。また、龍王の第三皇子が眠る上下の龍床、絶壁が美しく照り映える神仙崖、パワーあふれる小瀛洲なども涼しくて野趣がある。

漁湾観光区は人工的痕跡が少なく、自然を身近に感じることができる。子供たちが水台で遊んだり、天然プールで泳いだりするなど、この山水の趣は夏の漁湾をよりダイナミックに、より心地よく演出している。

二郎神遺跡公園

花果山の南には、古い灌河が静かに流れ、その岸辺には美猿王のかつての友人がこの地を守っている。何千年もの間、両岸の人々は、穏やかで平和な暮らしを送り続けられるのは、努力と知恵だけでなく、二郎神楊戬が守ってくれるからである。

伝説によると、二郎神は武芸に精通し、素晴らしい神通力を持ち、灌江口で孫悟空と300回にわたって戦ったものの、勝負がつかなかったと言われている。二郎が山を劈(開)いて、母を救うという親孝行の昔話も有名で、中国の親孝行を普及させる典拠となっている。二郎神遺跡公園は、中国の二郎神文化の伝承と展示の基地として、アンティークな建築を特徴とし、「親孝行」文化の普及をテーマに、その徳を表彰する慈孝閣、二郎真君の「忠孝結義」を示す荘厳な真君殿を建設している。また、斬蛟台や団園宮など、二郎神と灌南の文化を結びつける見どころがあり、全国各地から観光客を引き付けている。