文化の古跡を逍遥する
西渓の南、秦東河の辺。海春軒塔はこの地に巍々と屹立している。1300年の歴史を持ち、激動の社会を経てきたこの塔は、今でも変わらず立派で雄々しい姿を保っている。まだらの塔身に見受けられる歴史が刻んだ皺は、代々受け継いできた東台の文明を見る者に伝えている。
西渓というこの古い土地には董永と七仙女の愛の伝説も伝わる。浪漫に満ちた文化園――董永七仙女文化園が誕生したのもこの土地であり、漢白玉に彫られた董永と七仙女の塑像が青空と白雲の下で深い愛の佳話を表現している。ここでは漢潮街、董家垜村落、月老祠など、あちこちにロマンの痕跡や文化の脈を探すことができる。
文学と歴史の公演を巡り観る
情景大劇《范仲淹》は北宋・天禧五年の塩業再興や造福黎民（民のために福をなす）の模様、画舫を使者とし水を仲人とした古風満々とした水上の婚礼を再現しており、清く美しい晏渓河の水面は十里にわたって赤く飾りつけられる。
没入型ナイトツアー《尋仙縁》は歌とダンスショー、ドローンのパフォーマンス、裸眼で楽しむ３Ⅾなどの光科学技術を活用し、あなたを五つの幻想世界の七仙女探しへと誘う。
現地で演出される《天仙縁》は董永と七仙女の愛の伝説を原本とし、人と神の涙あり感動ありの奇縁を描き出している。
無形文化遺産の魅力にどっぷり浸かる
西渓は「漢服ファン」にとって見どころの宝庫で、漢服の各種イベントが盛んに開催され、全国最大の漢服館――天仙縁漢服館もここにオープンしている。秋冬は漢服を着るにはより良い時期だ。漢服は内部が暖かく快適で、袖口や裾は蝶のように軽やかで美しい。衣服の表面に施された装飾――伝統的な花鳥や縁起の良い図柄は無形文化財の魅力と中国工芸の美学を余すことなく示している。西渓を訪れたなら、一度は漢服のスタイルを体験してみよう。いにしえの装いで辺りを眺めながら優雅におしゃべりするのはいかがだろうか。
市井の賑わいを味わう
スープがおいしい東台魚湯麺、弾力ある後港茶干、さくさくと香ばしい富安酥児餅……草市街にはいろいろな種類の無形文化遺産のグルメが集まっている。本場西渓の味わいは、秋冬の美味しさを舌の上で綻ばせ、この土地の賑わいや人間模様を感じさせてくれる。
