江蘇に行ってとても美しい秋を味わおう

秋が江蘇の大地を席巻している。情緒様々な風景が現れ、それぞれの街もそれぞれの独特な味わいを醸し出している。たとえば塩城に行って、大縦湖湖畔をそぞろ歩きして、波に漂う小舟と風に揺れるススキを眺め、よく肥えたカニの美味しさを味わってみる。または蘇州の色とりどりの絵巻物に飛び込んで、天平山でフウの古木や辺り一面を覆う紅葉を鑑賞し、大自然の奥深い魅力を尋ねてみる。あるいは鎮江の西津古渡に行って、微醺の斜陽のもと、歴史ある街並みに覆う活気を静かに楽しむ。とても美しいこの季節、江蘇に足を運び、それぞれの山や水や街が持つ詩の味わいを感じてみてはいかがだろうか。

塩城――縦湖の秋

大縦湖は塩城市塩都区に位置する。里下河地区最大にして最深の湖沼であり、蘇中一の湖という誉れを持つ。大縦湖は古くから遠近問わず有名な塩城の名勝であり、その秋の景色は塩城新十景の一つに数えられている。

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大縦湖の秋景色のなかをゆっくりと歩くと、万物と秋が溶け合って一体となっている。水を船で行くと、耳の傍では鳥がひとしきりさえずり、眼前には蘆が飄飄と摺れ、水月観音が映りこむ。この水と空が寄り添う場所では美しい願い事もきっと叶うことだろう。落日の残光、まだ消えぬ一抹の夕焼け、そこを掠めるようにしてガンが飛んでいく。広々した青波のもとにある宋代の古城――大縦湖東晋水町には東屋や楼閣、青石が敷かれた小道がある。さあ、時空を越える旅に出て、千年の歴史や文化が持つ独特の魅力を感じよう。

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金秋の時節は大縦湖の上海ガニがもっとも肥えて美味しい季節でもある。清らかな水で生産される青々とした甲羅、白いお腹、金色のハサミ、黄色い毛の上海ガニは、その美味しさで内外問わず有名である。生姜と熟成黒酢を薬味にして蒸してそのまま食べると、大縦湖の新鮮な美味しさがやがて降臨する寒さを追い立ててくれる。

蘇州――天平の“フウ”景

古くから紅楓(フウやモミジ)を偏愛してきた中国人は、秋になると先を競って紅葉狩りに出かけた。蘇州の天平山は中国四大紅葉狩りの名勝地の一つだ。ここには百株あまりのフウの古木が集まり、たくましく天に聳えている。これらはみな范仲淹の子孫が明の万歴の時代に植えたもので、400年あまりの時間、艶やかな姿を保ってきた。三角形のフウの葉は、秋になるとまず青葉が黄色く染まる。さらに橙、そして赤へと変わっていき、最後には紫色に染まる。ここから「五色楓」と言う名前を持つ。そんなフウ林の絶景は何があっても見逃すことができない風景だ。

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天平山山腹のフウ林上方にある望楓台は鑑賞の絶好地だ。台上から展望するフウの木々は、まるで美しい霞雲が山の上を漂い流れているようだ。フウの葉の間には東屋や楼閣が見える。青レンガや黒瓦も所々露出し、詩意を増している。深くまで歩いてゆくと、十景塘、放生池、白雲池の畔ではどこもかしこも紅葉が見られる。ひと塊になったフウの木が池に逆さに映り、滴るように艶やかな鮮紅が溢れ、天と地の間はすべて色鮮やかな色彩で満たされている。

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鎮江――古渡の秋色

西津渡に足を踏み入れ、秋がまさに濃厚な古渡の風景を見よう。鎮江の文物古跡がもっとも多く、もっとも集中して、もっとも完全に保存されている地区である西津渡は、歴史文化名城鎮江の「文化の脈」が流れるところだ。山を囲み大河に臨む古い町並みに入ると、足元には青石板の石畳が続き、街道の両脇には数多くの明・清の建築が軒を連ねて並ぶ。その様子はまるで古朴で上品な山水画だ。

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旅行にいちばんの秋。西津渡に来て、良質な秋の旅をしてみよう。漢服を着て時間が刻み込まれた生活の味わいを体験したり、熱々の鍋蓋麺を試してみたり、古建築群のなかをぐるりゆっくりと歩いてみたりするのもきっと美しいに違いない。

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夜の帳が下りるころ、街頭に灯りが灯る。ネオンが輝きだし、西津渡の街のあちこちが賑わいはじめる。出し物を見に行ったり各種伝統手工芸品やオリジナルの手工芸店の秘密を探ったりして、夜遊びの楽しみを感じてもいいだろう。ときとして秋風が吹けば身を任せ、目を閉じて深呼吸し、古渡の心地よい時間を静かに楽しもう。

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