万里を奔る長江が海へと注ぐその下流、南通のあたりで江は東南へと折れ、広々とした水面が開けてゆく。その大河の北岸、千里に及ぶ肥沃な大地に五つの小さな山々が次々と姿を現し、なかでもひときわ高くそびえるのが、そう——狼山である。幾千万年の洲と陸の浮沈を経て、狼山は長江と東シナ海の平原よりも先に、万頃の波の中からその姿を現した。それは、長江が海へと至る前に出会う最後の山――川をまとい、海を眺め、世俗を離れてひとり静かに立つ、それが狼山なのである。
山頂に立てば、空は大きくひらけ、風は清らかに満ちわたる。この雄大な景色がもたらす感動こそが、南通に“江と海を駆ける精神”を育み、南通の人々に“世界へと目を向ける広い心”を与えてきた。どこから訪れた人であっても、狼山に登ったその瞬間、誰もがふと心の霧が晴れるような悟りを覚え、「この旅に悔いなし」と思わずにはいられない。
狼山はまた、多くの文人たちが筆をとって描いた詩情あふれる名勝でもある。王観は「水は眼差しのように横たわり、山は眉の峰のごとく寄り集まる」と詠い、米芾は狼山を「江海における第一の山」と称した。文天祥は「狼山の青、いく点か——遥かなる地の果てを極めん」とその雄姿を讃え、鄭板橋は「十指成林(十の指が林となす)」の扁額を揮毫する。また、呉昌碩は「大小磊落磯」の銘文を石刻として遺した。さらに近代においても、作家・峻青の《狼山銘》、余秋雨の《狼山の麓で》など、現代文人による紀行文が今もなお語り継がれている。
どうぞ南通へお越しください!狼山に登れば、目の前に広がるのは江と海が触れる。緑の息吹にふれ、歴史の重みを感じ、文化の香りを味わいながら、尽きることのない「詩」と「遠き憧れ」を手にすることができるはずだ。