楚王項羽の故郷である宿遷は、江蘇省内では若い都市と言えますが、実は1000年の歴史を持っています。項羽がここに生まれたため、この街には「力拔山兮気蓋世」(「その力は山を引き抜き、その気力はあらゆる人を凌ぐ」)の気概が深く刻まれています。

ここは山が美しく水も綺麗です。三台山で花見をしたり、駱馬湖で清らかな水を満喫したり、洪澤湖で渡り鳥の姿を楽しむことができます。英雄が生まれた街が醸し出す優しさは、きっと人々を強く惹きつけるでしょう。

宿遷は清の乾隆帝に「第一江山春好処」(「春の美しさが天下一であるところ」)と褒め讃えられた土地です。乾隆帝は6回江南を訪ねましたが、そのうちの5回を宿遷の乾隆行宮で過ごしました。そのことからも、この街の魅力がうかがえます。

宿遷と言えば、山水ばかりではなく、お酒についても語らないわけにはいけません。中国八大名酒である洋河酒や双溝酒は、ここ宿遷で産まれました。いいお酒はいい水より。大きな河が三本流れ、湖二つに湿地一つを抱えている宿遷の恵まれた自然環境は、ここでしかありえない唯一無二の柔らかいお酒を成し遂げました。中国にはお酒の里として著名な場所が少なくありませんが、何千年以上もの時の流れと世の中の移り変わりによって有名無実化してしまったところも少なくありません。しかし、宿遷の洋河美酒は昔と変わらず受け継がれ続けてきました。宿遷は「中国白酒の都」として、その名に恥じることがない街なのです。