「煙花の三月揚州に下る」。李白が詠んだこの詩は、ただ長い間詠い継がれてきただけでなく、詩の中に描かれた揚州の絶好の遊覧期を人々の心に焼きつけてきました。確かに、柳絮が風に舞って漂い、霧雨がしとしとと降るこの時期は、婉曲で含みがある揚州の雰囲気を引き立たせます。江蘇省の中心に位置するこの淑やかな街は、たとえ自分の足だけで歩いて見て回っても疲れを感じさせないほどです。

「世界のグルメの都」、「東アジア文化の都」、これは揚州を褒め称えることばであり、世界が揚州を認めたという証でもあります。歴史的・文化的に重要な都市であることを示す「中国歴史文化名城」に最初期から名を連ねている揚州は、いにしえの昔に海のシルクロードが通っていた街として、世界遺産都市の有力候補の一つです。また、中国大運河の揚州部分も世界遺産のリストに選ばれました。仏法を伝えるために危険を冒して海を渡った「日本律宗の鼻祖」鑑真も、文化交流に尽力した立派な人材として揚州の永遠の誇りです。

揚州には豊かな文化と観光資源が揃っています。東関街や東圈門のような古い町並みへ足を向けると、この土地ならではの特色にあふれた軽食店や老舗の雑貨屋がたくさん目に入ります。個園や何園のような草花が生い茂る独特な雰囲気に満ちた庭園を見物したりするのもおすすめです。旅行の疲れを癒やしたいなら、そよそよと風が吹く痩西湖に船を浮かべ、ゆっくりするのもいいでしょう。

いちばん見逃せないのは、やはり朝のヤムチャです。ヤムチャとは、お茶を飲みながらお菓子や軽食を楽しむ習慣ですが、揚洲ではシンプルなお茶を注文し、それに三丁包(さいの目に切った鶏肉と豚肉、筍をあんにして作った肉まん)、翡翠焼売、千層餅揚げなどを合わせ、のんびりと朝を過ごしてから新しい一日を始めます。いちど体験してみませんか?きっと旅の忘れられない美しい記憶になることでしょう。