古きを訪ねる宿遷の旅

江蘇省で最も若い地級市であるが、古く長い歴史を持っている。江蘇省で最古の人類活動遺跡である下草湾文化遺跡が発見され、秦と漢の文化が混じり合った場所であり、乾隆が「第一江山春好処」(「春の美しさが天下一であるところ」)と称賛して忘れられない場所でもある。ここが宿遷である。

本文:

5,000年以上の文明の歴史と2,700年以上の都市建設の歴史を持つ宿遷は、奥深い文学的内包があり、秀麗な山や川に古風な魅力が溢れている。ここには清らかで魅力的な川や湖、濃厚な銘酒、語り切れない西楚の伝説がある。時は移り、この街の古びた素朴さや雰囲気は全然変わっていない。このたび、宿遷における古きを訪ねる旅を始めよう。

河古鎮:百年の繁華、悠々たる歳月

1757年(乾隆22年)旧暦4月の早朝か午後、皀河古鎮の川には、一時船が果てしなく並んでおり、川岸には色とりどりの旗が翻って、皇帝の車がくねくねと続いている。皀河古鎮の運河の埠頭に乾隆皇帝の豪華な船団を迎えたのである。乾隆帝は6回の南巡(江南地方の巡幸)を行ったが、そのうち5回が皀河に泊まったと言われている。

皀河はなぜそこまで魅力的なのか? それは皀河古鎮の水運の中枢としての地位と深く関わっている。古鎮皀河は、北に駱馬湖、南に黄河故道に隣接し、さらに京杭州大運河も通過している。頻繁な海路輸送により、皀河は一時的に繁栄を極めた。唐宋時代から形成し、明清時代に最盛期に達し、皀河は千年もの間絶えず発展している。世界文化遺産の運河、安瀾橋、乾隆行宮、合善堂、陳家大院、財神廟などの古跡が、いずれもこの運河の町の昔の繁栄を物語っている。

皀河古鎮を散策すると、特色のある水(埠頭)の文化がはっきりと感じられる。かつての皇帝専用の埠頭は、礎石の輪郭がまだ残っている。河のほとりには、皀河老船閘遺跡が、川を行き交う木造船を今も待っているかのように、ひっそりと佇んでいる。国家特大水利プロジェクトである皀河給水ターミナルは立派で威厳がある。この水と繋いでいる皀河古鎮の千年をも超えた古びた趣を前に、誰でも感動せずにはいられないだろう。

龍王廟行宮:豪華絢爛な王室の宮殿

皀河古鎮には、かつて乾隆帝が泊まった場所、極めて代表的な宮殿風の古代建築群――龍王廟行宮(乾隆行宮とも呼ばれる)がある。行宮は4つの中庭と3つの囲い庭からなる閉鎖的な北方官邸風の建築群で、規模が壮大で、とても威厳がある。全国にある乾隆行宮の中で最も規格が高く、規模が大きく、現存する唯一のものであると言われている。

乾隆行宮に踏み入れると、時間も重厚で長く感じられる。南から北へ、禅門、鐘楼、鼓楼、御碑亭、怡殿、東廊房、西廊房、龍王殿、霊関殿、禹王殿、東宮、西宮がある。最南端の古い劇楼は、かつて皇帝の行幸の際に戯曲を鑑賞するために使われていたものであり、その余韻が今も耳の奥で流れているようである。 青いレンガ敷きの広場を抜け、「河清」「海晏」の牌楼を踏み越えると、「禅殿」に到着し、禅殿両側にある皇室の石獅子がとても威厳がある。さらに進むと、御碑亭が目に入る。石碑に刻まれているのは、乾隆帝が自ら書いた詩で、当時の光景がいきいきと目の前に広がっているようである。

行宮中央の中庭は、乾隆帝が政務処理や議事を行い、神と祖先を祭るための龍王殿である。ここに足を止めると、当時の古い黄河が長年にわたって氾濫し、乾隆帝はここに大臣を集め、黄河を静めるための対策を講じ、熱烈な議論をした場面が目に浮かぶ。最奥の囲い庭は乾隆帝の寝宮である禹王殿であり、行宮中で最も高い建築である。行宮の上に立つと、行宮建築群の全貌が見渡せる。

項王の故郷:千年も超えたロマンと伝奇

楚の魅力が千年も流れる宿遷は、楚覇王項羽の故郷である。この英雄豪傑を記念するために宿遷人はこの項王故里観光区を建設した。スカイグレーのレンガの壁、木製の門、立派な閣楼、まるで華やかで繁栄な西楚時代に身を置いているような感じがする。項王の手植えの槐、覇王鼎、烏雅馬亭などが覇王項羽の伝説的な生涯を物語っている。

夜の帳が降り、華やかな灯火が灯り、項王故里観光区の楼閣や宮殿が灯火に照らされ、朦朧とした光と影が、時空を変えたようである。周りに古代の衣裳を身にまとった女性たちが群れを成して笑ったり遊んだりしていて、千年前にタイムスリップしたような気分になる。ライトショー、巡回パフォーマンス、祭りや提灯祭り、民俗演出、夜の展示会、読書会などが、夜の項王故里をより一層美しく魅力的に!

高くそびえる雄大な西楚古城を幕とし、清らかで透き通った盖世閣を舞台とする「夢回西楚王朝―千年の恋」が衝撃的に上演するので、ぜひお見逃しなく。梧桐の下で恋の約束、鴻門の会、烏江自刎など、歴史的瞬間が舞台で忠実に再現され、まるで叙事詩のように深い感銘を受け、濃厚な西楚の古韻にうっとりさせる。

西楚演芸のほか、西楚の風物を鑑賞し、逸品展示を通して無形文化遺産の魅力を味わうことができる。また、楚街を回り、本場の軽食や特色のある項府の宴を食べながら、素朴な生活の雰囲気を感じ取り、それぞれの料理にまつわる意味深長な歴史物語を聞いてみよう。

先秦の文明と西楚の文化に育まれ、美しい湖と山の風景、葦と蝦と蟹に恵まれた水郷の宿遷は、特別な清々しい古代の趣を放っている。宿遷で古きを訪れ、千年のロマンが目の前に広がる。