無形文化財の物語を一緒に聞いて、蘇州の制扇技芸と玉雕について知ろう

無形文化財技芸―制扇技芸

造形、表装、彫刻、象眼、髹漆など緻密で深い工芸を一身に集める蘇扇。千年あまりの歴史を有する蘇扇は歴史上、高雅の人々にとって欠くことのできない掌中の珠であった。

折扇(扇子)、檀香扇(白檀扇子)、そして絹宮扇(絹団扇)はまとめて「蘇州雅扇」と呼ばれ、どれも独自の制作工芸と芸術スタイルを有している。そんな制扇技芸は2006年5月、第1期国家級無形文化遺産代表的項目リストに選ばれている。

よい蘇扇を作るには少なくとも30を超える工程がある。それでこそ、このいかにも上品で気骨ある蘇州の味わいのなかに重厚な歴史を取り込むことができるのだ。たとえば絹宮扇制作でいえば1年で全工程の三分の一しか進まない。扇の枠となる竹は地面のなかで5年から8年かけて成長し、その後、整形されて細い竹ひごととなったあと、高温で柔らかくなるまで焼かれ、また匠の経験によってくぼみや円を描き、蝶や柳の葉など各種の造形となるのだ。このステップは難点である。竹ひごは熱が足りないと反発するし、焼きすぎると割れてしまうからだ。こうして枠が完成したあと、定型後一年待ってやっと扇の裏面表面の飾りつけに取り掛かることができるのだ。蘇扇は長い間、まさに一代また一代と匠の手から手へと代々受け継がれてきたのである。

無形文化財技芸―玉雕

見たところなんということはない(ときには見た目の悪い)、厚さ10センチからときには1ミリの薄さの玉石は、どのような数々の工芸を経ることで、見る者を感嘆させ絶賛させる芸術品へと変身し、蘇州の精緻繊細さを余すことなく表現する存在となるのだろうか。

歴史から見ると、かつて乾隆帝は何度も蘇州の玉工を都へと呼びつけ玉器を作らせ、そのため「蘇幇」玉器は国内外でその名を轟かせた。玉器作りは素材選び、切り出し、設計、彫刻、研磨・艶出し、蝋引きなど多くの工程を経る必要がある。特にこだわるのは素材に応じて技芸を施すことだ。どのようにして材質の持つ自然の色を巧みに生かして作品として最適な表現方法にたどり着くか、それはすべて職人の創意工夫にかかっている。

蘇州玉雕の芸術的特徴は「空、飄、細」である。すなわち、虚実のコントラスト、適切な密度のバランス、線のよどみのなさ、構想の巧みさ、天然に勝る美しさである。そんな蘇州玉雕は2008年6月、第2期国家級無形文化遺産代表的項目リストに選ばれている。

玉雕職人にとって手中の彫刻刀は万能の筆である。「心手合一」の境地を望むなら、目と手の技術を絶え間なく修練しなくてはならない。玉雕制作ではどの段階においても「細」の実現が求められる。小口鼓腹という薄胎玉器を例に挙げると、まず玉石の内部に空洞を空け、壁の厚さをいったん5ミリ程度まで彫っておく。そして外側に模様を掘り終わったあと、さらに壁の薄さ1ミリ程度にまで空洞を彫り進める。この作業はとても難易度が高い。玉は磨かなければ玉器にはならない。紙のように薄い薄胎玉器の背後に透けて見えるのは重厚な伝統である。職人たちが自らに対して高い要求を課せば課すほど、技芸の繊細さも増していくのだ。