私の旅日記|江蘇の明前茶を飲んでみたいんだけど、おいくら?

この季節、江蘇の田舎ならどこにいようともきっと茶の香りがすることだろう。江蘇の山水の間では緑茶、白茶、紅茶、そのどれも優れた産地を見つけることができる。またその風景はとても美しくて心地よいのだ。
南京雨花茶
南京の茶業界には、雨花茶は南京人の「痛いところ」だという話がある。一つ目の「痛み」はその量の少なさにある。南京は大規模な茶の生産地ではない。中山陵、溧水などを除けば、雨花茶を栽培している場所は多くないのだ。「痛み」の二つ目は、ずばり値段の高さだ。雨花茶は茶葉の摘み取りや加工に極めてこだわる。たとえば茶摘みは長さ1.5から2センチ、芽と葉の角度15°ほどの茶葉を一芯一芽で摘む。その後、萎凋、殺青、揉捻、搓条、抓条、烘焙などの工程を経て、やっと茶葉が完成するのだ。これら2つの「痛さ」が「古くからの南京人であっても必ずしも本物の明前雨花茶を飲んだことがあるとは限らない」という痛みを作り出しているのだ。
つい最近、溧水晶橋鎮芮家村にある茶園基地に雨花茶文化園がオープンした。ここには茶摘み園、雨花茶歴史資料・茶器展示館、釜炒りエリア、品茶エリアなどが揃っていて、雨花茶の講座を聞いて雨花茶の過去と現在を理解することもできる。また、茶摘みをして茶農家の汗水流れる爽快さを体験することもできる。ほかには農家メシを味わい、現地の野趣溢れる味を体験することもできるし、釜で茶を炒って自分で作った茶葉がどんな味か試すこともできる。最後は手作りの雨花茶一缶とともに南京の春も家に持ち帰ろう。


揚州緑茶
揚州茶、それはじつはもっとも伝統的で茶本来の素朴さを持った緑茶である。揚州の地元茶の本拠地は儀征市捺山とされ、そのため現地の人々は「捺山茶」と呼んでいるが、これこそがほかの土地の人間にとって馴染みある「緑揚春」である。緑揚春の特徴といえば、茶葉を殺青するときにじっくり火を入れることだ。そのため緑揚春は茶の味わいが深く、何度も淹れれば淹れるほど甘みを増し、思わず涎が溢れる感覚につながるのだ。
揚州茶でいちばん評判が高いのは富春茶社の魁龍珠茶だ。これは安徽魁針、浙江龍井、そして揚州当地で香りづけした珠蘭を配合して作られた、独自の特徴を持つ茶だ。一杯10元と価格も手頃だ。もちろん10元という普通価格の茶葉では林清玄が言うところの「名は上品で味わい深い」までは求めようもないが、それでも喉の渇きを癒し、脂っこさを洗い流すには十分だ。蟹黄湯包、乾絲、千層油糕と一緒に口にすると、一口ごとにスッキリとさわやかな味わいが楽しめる。これは間違いなくこの世の幸福のひとつであり、多くの人はこの一杯を味わうために週末に車を走らせ揚州を訪れるのだ。


句容茅山長青茶
雲が立ち霧がなびく初春早朝の茅山景区は優れた茶葉の必要条件であるたっぷりとした湿気を有している。春茶を飲む、それは茶葉に含まれるアミノ酸のあの新鮮な美味しさのためだ。しかしじつはそこにはもうひとつ、生命の息吹がふつふつと湧き上がっている。というのも、新鮮かつ出来立ての長青茶は旨みがはっきりとしていて、茶の効能たっぷりなのだ。しかも2杯目に淹れた茶の方がより爽やかで美味しい。あるいはそれはこの句容の地が育んだのかもしれない。長青茶の芽は高山茶のように太く大きくはなく、ほっそりと長いが、その味わいは長く続き、何杯淹れても長持ちする。
長青茶の茶摘みでは茶のいちばん先端の柔らかい芽を摘む。茶葉のランクは非常に高く、現地の気候の特徴によって茶葉に含まれる物質は比較的豊富である。ただ、生産量が少なく、1ムー(6.667アール)あたり4キロの乾燥茶葉しか収穫できない。ブランド作りのため、現地の茶葉協会は茶葉の原料と製作工程に対して非常に高い要求を課しており、長青茶を生産するすべての現地企業は茶葉を生産するたびに茶葉協会が設置した評価委員会に茶葉を送り、等級審査を受けている。そしてその等級をもとに製品にはQRコードのラベルが張られる。消費者はスキャンするだけで茶葉生産のすべての情報を調べられるのだ。