川を遡り、長江の雄大な気概を見渡す

中国第一、そして世界第三の大河————長江は、蛇行する舞う水袖のように、西から東に江蘇全省を貫き、沿線の歴史と文化の名城を結んでいる。絶え間なく流れる川の水と美しい風景は互いに助けあって更に輝きを増し、江蘇省に「機敏で、詩的で、包容的で、開放的」な歴史と文化の息吹を与えながら、この土地の人文気質と性格を滋養して、文化の発展と伝承を維持している。

今日は、私たちは江を遡って、まず南京中山埠頭へ長江の昔の繁栄を見、そして鎮江三山へ伝説の逸話を聞き、最後に南通狼山まで山光水色の風貌を一望し、雄大な長江の気概を見渡す。

南京中山埠頭

中山埠頭は鼓楼区(旧下関)の川岸にあるので、歳を取った南京人の中には下関埠頭と呼ぶ人も残っている。その歴史は早くも東晋に建設した軍用埠頭に遡れ、20世紀まで重要な客貨運埠頭として存在した。その後、孫中山先生を記念して改名された。現在では民国時代の建築様式を踏襲して修繕され、外観が「山」の形をしており、建物自体は赤を基調とし、白の輪郭が描かれ、荘厳でありながら整っていて、大変立派に見える。

雄大な長江は南京を横断して、この町を江南と江北の二部に分けている。南京長江大橋が完成する前、中山埠頭は南北両岸の交流の要だった。当時、川にはフェリーが行き交い、汽笛の音が耳に絶えなく、埠頭にも人が賑わっている。商人、労働者、観光客……人通りが絶えなかった。今では両岸の交通が発達し、中山埠頭は静かになったが、20分に1本のフェリーは相変わらず定時に出発している。埠頭には行ったり来たりする船とフェリーや、ひっきりなしの人群れ、長江の無限の風景、更にこの町の独特な記憶とロマンを全部請け負っている。

鎮江三山風景区

三山は即ち金山、焦山、北固山であって、鎮江市の長江南岸に位置し、昔から「真山真水」の独特の気質を持っている。美しい風景だけでなく、それぞれの山の物語も大変興味深い。

金山は美しく、かつて長江中の島であったことから「江心一輪の芙蓉」という美称があり、その後地勢が変わり南岸と繋げた。山に沿って建てられた金山寺は今から1600年以上の歴史があり、遠くから見れば、「お寺が山を包んでいる」ような視覚的な効果がある。『白蛇伝』の中にある白娘が「金山を水で浸す」シーンにたくさんの神話色を加えた。

金山と逆の風貌を持つ「山がお寺を包んでいる」焦山は、山水天成、古風優雅で有名になった。碑林は焦山の最も有名な名所の一つで、ここに中国古代の各類の碑刻、歴代名人の詩詞が刻まれている磨崖石刻、歴代の書家によって「大字の祖」とされた「碑中の王」である「瘞鶴鳴」が所蔵されていて、焦山に行ったら是非見て欲しいものだ。

北固山は山々が険しく、山頂の北固亭から長江の壮観を一望できる。このほか、山の上には『三国演義』の物語に関連する名所が多くある。最も有名なのは甘露寺であり、ここで諸葛亮は相手の計略の裏をかき、孫権を元も子もなくするという話がある。

南通狼山風景区

狼山風景名勝区は長江に臨む軍山、剣山、狼山、馬鞍山と黄泥山の5つの峰からなり、古くから「川を出て海に入る第一の山」という美称がある。陸域の80%が森林で覆われており、生態環境が非常に優れた森林公園となっており、四季折々の景観を楽しめる。

「一塔雲中挿し」とは、狼山峠に屹立する支雲塔のことで、1300年以上の歴史を持つ古刹————広教寺の中で尤も特色のある建築物である。観光客は塔に登って遠くを眺め、長江と狼山の景色を一望することができる。広教寺は狼山のもう一つの特色で、毎年たくさんの人がここに来て仏を拝み禅を修行している。ついでに原生態の食材で作られた精進料理を食べ、舌先の禅意を味わっても悪くないね。

麓にある嗇園は南通の著名な実業家張謇の記念地で、彼は中国近代の著名な民族実業家だ。彼の多くの革新により、南通は「中国近代第一の都市」と呼ばれるようになった。ここに来れば、彼の生涯を知ることができるし、騒がしい世間から離れて、珍しい樹木が植えられたこの園林の中に身を置き、自然に戻る楽しみを味わうことができる。