海塩文化に足を踏み入れ、過ぎ去った時間に眠る街の記憶を探す

塩をもって成りたち塩によって栄えた街、塩城。この街を理解したいなら、中国海塩博物館に行って長い長い文明の流れを眺めるといい。塩の街をゆっくり歩いたり船で揺られて水郷を巡ったりしながら昔の面影と現在の趣を味わってもいいし、あるいは竹林大飯店に足を運び、時空を超えて街の過去の記憶を拾い上げるのもいいだろう。この街の重厚さ、暖かさ、あでやかさは自分の目でじっくりと味わってみる価値ありだ。

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中国海塩博物館

美しい串場河と范公堤の間にランドマークとなる巨大な「結晶塩」型の建造物がある。それが中国で唯一国が命名した海塩博物館――中国海塩博物館である。博物館は蝋人形、塑像、砂盤などの展示方法で、にがりの分離・塩の結晶化・天日乾燥などの海塩生産や塩作りに携わっていた古代の人びとの生活文化・情景を多層的に展示している。館内に入ると目に入る陳列されている数多くの文物は千年の時を越えるもので、なかには博物館秘蔵のお宝もある。商(殷)や周の時代の製塩道具や古代将士の兜に似た形の厚い陶器などは、およそ3000年ほど昔のものである。

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ロビーを抜けて4つある展示ホールに入ると、『引海製塩』では海塩の生産技術の変遷を伝えている。『行塩四方』では海塩の貯蔵、運輸、そして販売管理システムを、『塩政春秋』では海塩の専売体制および塩法体制の形成・発展を、『海塩興城』では海塩文明の継承について展示している。一つひとつが美しい展示を通じて、千年の歴史の脈絡に触れ、海塩の前世今生を知ることができる場所だ。

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塩鎮水街

中国海塩博物館から出るとほどなく園林風格の古建築街区にたどり着く。范公堤に接し串場河と隣合うこの街区は塩鎮水街という名で、大宅門、天水広場、そして駅水酒家の三つの大きなエリアに分かれている。800メートルあまりの曲がりくねった水路が流れ、それ寄り添うようにして古色蒼然とした東屋楼閣が立っている。水路には9本の橋が架かり、沿道にはずらりと店舗が並んでいる。ここを巡るなら水上遊船でもいいし、陸路を歩きながら塩城の水郷風情と海塩の歴史文化の風貌に満ちた古の趣を感じるのもいいだろう。

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水街のランドマーク的建築物である水雲閣に登ると、足元を流れる水や楼閣に絡む雲の雅な趣を感じることができる。また、各種地方劇、雑技、昔ながらの職人技、民間芸術などの民俗文化を見てもいいし、塩城特産店をのぞいて塩阜(塩城の別称)三宝である伍佑麻花、阜宁大糕、塩城焼餅を味わってもいい。あるいは塩城のいちばん伝統的な料理系統である八大碗を食べに行き、塩城の家庭料理をいっぺんに味わい尽くすのもおすすめだ。

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夜の帳が下りて水街の通り全体が火ともしごろになったら、漢服を一式レンタルして身にまとい、船に乗って両岸に溢れる鮮やかな明かりを思う存分目に収めよう。そよそよと夜風が吹くと、黄色い灯りが碧水に溶け込むように映り、ゆらゆらと揺れる。その楽しげな趣きは格別だ。

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竹林大飯店

広大な歴史文明から帰ってきたあとは、この街の昔の温かさと時間を追憶してみるのはどうだろうか。おすすめは竹林大飯店だ。名前を聞いただけならきっと普通のレストランだと思うかもしれない。しかしここで提供されるのは単に口で味わう塩城の味ではない。ここでは過ぎ去った時間に眠る塩城の記憶を吟味することもできるのだ。

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竹林大飯店に入ると、まるで80年代90年代に身を置いているかのような気分になる。暗緑のテラゾーストーンが敷かれた床、赤レンガとセメントの壁、大きなエンジュの木の下の売店……一つ一つの建材から一歩一景に至るまで塩城の在りし日の生活が刻み込まれているここでは、正真正銘のレトロを体験することが可能である。1階から3階に登ると、縦横に交錯する昔ながらの路地のなかで、塩城ならではのグルメや老舗商品、魚湯麺、藕粉圓、蝦糠ワンタンなどが売られている。ほかにも、塩城八大碗と老塩城龍蝦館などがあり、ぶらぶら歩きながら食べ進めば、活気が前方からどっと押し寄せてくる。

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グルメ以外にも、ここでは前世紀の塩城でよく目にした映画館、郵便局、写真館、フェリーの渡し場、バス停、万屋など、都市の発展が進むなかで消えていった、見る者の胸を打つ本物の物語や情景を見ることができる。ほかにも木彫り、剪紙、泥人形、磁器の表面に字や画を刻んだ磁刻など、塩城の特色を備えた貴重な文化の宝物がここにはあり、昔ながらの塩城文化が宿る感情や、この土地の文化伝承、そして塩城文化の力を感じることができる。

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さあ、竹林で約束し、ともに塩城を回想しよう。時代の蓄音機に針を落とし、塩城の声に耳を傾けよう。