気ままな溧陽、すがすがしい旅

前書き

都会暮らしも長くなり、絶え間なく繰り返される日々を過ごす毎日……そんなとき、もし片時でもどこかに逃げ出せるとしたら、あなたはどこに行きたいだろうか。山紫水明を感じようと山間の翠緑へ分け入るだろうか。それとも安然の地を尋ねて思い悩む気持ちを発散させるだろうか。常州市南西に位置する溧陽は、古くから「三山一水六田畑」と呼ばれ、限りない自然風景が広がっている。溧陽に赴き、フレッシュな旅をして、久々の自由気ままさを感じよう。

本文

江南奥深くの秘境、青竹に囲まれたこの小さな町は、月や星に願いを託すことができる山川のロマンに満ちた場所だ。ここでは茶畑に足を運んで茶の香りを探し求め、夜はホタルの光を見よう。彩虹道路で気ままに車を走らせたり、山間を思う存分駆け回ったりするのもいい。ほかにも、南山竹海に入って竹林の間を吹く清風を浴びて心を解き放ち、「夜更けに星を枕に眠り、山のそばで夢の世界に入る」田園情緒を感じよう。

茶の旅――美山野火虫茶園

岕は中国語で山と山の間を意味する。溧陽美岕は山野のなかにある、はっきりとした四季と優れた風景を擁する自然の趣溢れる生態温泉リゾート村だ。ツリーハウスに泊まり温泉に浸かり、山で野遊びして農場で楽しむ……そんな山の民の生活を何日か送って山野暮らしの気ままさと楽しさを体験することができる。美岕の特別なところを挙げるなら、茶の香り立ち込める茶畑だろう。その名の由来は夜になるとふわりふわりと姿を現すホタルである。この茶畑は美岕の自然生態をもっともはっきりと見ることができる場所だ。農薬、化学肥料、除草剤を使わず、ホタルの生息地が音響光学素子と化学汚染の影響を受けないよう保証している。そうして化学汚染を防いでいるこの茶畑は、ホタルの楽園であるだけではなく原生態の良質な茶葉の産地でもある。美岕を訪れたら野山に溢れるのんびりとした雰囲気を楽しみながら茶畑の新鮮な酸素を吸い込もう。自分の手で籠いっぱいに春茶を摘み、味わい深い茶を一杯味わってみるのもいい。夜になったら茶畑に行ってきらきらと輝く精霊たちを捕まえるのもありだ。さあ、そんな爽やかで心地よい茶の旅を体験してみよう。

山の旅――瓦屋山

黒いアスファルト敷きの溧陽1号道路はセンターラインが赤、黄、青の三色で表示されており、全国でも唯一無二の虹の道となっている。全長は365キロメートル。溧陽の自然風景区と田園郷村、瓦屋山を結ぶ道路沿いには美しい風景が途切れることなく続いている。30kmある瓦屋山環状線は2022年度「江蘇省でいちばん美しいランニングコース」に選ばれている。天気がいいときは瓦屋山に足を運んでみてはどうだろうか。

沿線には60平方キロメートルの原始林が広がっていて、林木が生い茂り、青竹がざわざわと揺れている。瓦屋山森林公園は瓦屋山のふもとに位置する。起伏した土地に竹海が広がるその眺めは心地よい。ぽつりぽつりと見える茶畑からは風に乗って清々しい香りが運ばれてくる。山間には穏やかで美しい神女湖が真珠のように嵌っていて、その鏡のように静かなエメラルドグリーンの水に山の姿が映っている。ここから瓦屋山を眺めると、青々とした山が水に倒立して映り、曲がりくねった尾根の輪郭が縁どられている。その様子はまるで横になって沐浴している仙女のようだ。ここからそう遠くない神女湖駅站は旅路の休憩ポイントとして使用できる。「公路珈琲」は試して見る価値ありだ。

竹の旅――南山竹海

風光明媚な天目湖に隣接する南山竹海には約23平方キロメートルにもわたって青々とした竹が生えている。中国でもっとも美しい竹海と呼ばれるここは、周囲数十里がまったく汚染されていない、国の5A級観光景区である。南山竹海は奥深くに青山緑水の含蓄を秘めており、「天堂南山、夢幻竹海」という美名で呼ばれている。山から流れ出る水と天然の雨水が集まって静かで小さな湖を作っていて、その湖面には竹林が映る。そこに竹で編んだ筏を浮かべ、ゆっくりと棹さす……まさにこの静謐の美景にちょうどいい楽しみ方だ。

ここではケーブルカーに乗って呉越一の山峰に立ち「衆山の小さきを一覧せん」という豪気な感情を体験したり、ミニ機関車に乗って山頂へ向かい浮世を離れた鶏鳴古村で快適な山間生活を感じることもできる。また、竹文化園では非凡な竹文化の盛宴が催されている。ここでは翻黄竹刻、徽派竹刻、嘉定竹彫、金陵竹彫などの優れた芸術や竹彫刻芸術の緻密で美しい表現手法、生き生きとして今にも動き出しそうな工芸を鑑賞することができる。そして、竹を食べて生きるジャイアントパンダがここ南山でも十分気ままに生活していて、パンダ館では彼らの日常生活を見ることもできる。これは簡単には見逃せない見どころだ。