大河と海の街南通の声に耳を澄ます

大河の尾にして海の畔、燦爛と輝く真珠の如き南通は長江が海へと注ぐ北側に鎮座する。長江と海に面し、河の流れや湖沼を抱え、五山を擁するこの街は、長江の風格と大海原の調べが満ち溢れる、水潤山霊の街だ。「中国近代一の街」との美誉ある南通は、沸き立つ大河大海を目撃し、歴史の風雲を記憶してきた。そんな南通を心ゆくまで巡れば、美しい山水を鑑賞し、歴史ある街の声を聞くことができるのだ。

音、それは街のDNAである。すべての街はその都市だけの音を持つ。それは文化の記憶を呼び覚まし、その街が持つ自然な律動をはっきりと浮かび上がらせ、人や社会の活気を記録する。南通の人々の記憶に永遠に刻まれているある種の音も、よりかけがえのないものだ。あなたは南通の声に耳を澄ましたことがあるだろうか。南通博物苑から伝わる歴史の声を、狼山風景名勝区にこだまする自然の声を、黄金海岸から聞こえる浜辺で海と戯れる人々の声を、それぞれ聞いてみよう。みなの心にはそれぞれ固有の南通の音や声がある。さあ、南通の声に注意深く耳を傾けよう。

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歴史の声――南通博物苑

南通博物苑は風光明媚な濠河のほとりに位置している。ここは中国古代苑囿(遊覧用の花園や動物園)と西洋の博物館理念が融合した「園館一体」の総合的博物館である。

1903年、張謇(江蘇南通人、清末から民国初期の実業家、政治家、教育者)は日本に渡り、日本の実業と教育を視察した。彼に深い印象を残したのは学校教育を補うものとして博物館が利用されていたことだった。帰国後、彼はさっそく博物館創館を積極的に提議し、度重なる困難を経て1905年、公共植物園建設計画をまとめあげた。これが南通博物苑の前身である。

現在、南通博物苑は新旧建築が融和し、南から北へと順に南館、中館、北館という老博物館群に分かれ、数珠繋ぎとなって南北中軸線を形成している。この軸線のほかにも、藤東水榭(東屋)、遅虚亭、竹平安館、風車、水塔などの景観向け建築がある。南通博物苑の所蔵品は、たとえば海安青墩新石器時代遺跡から出土した石器、陶器、玉器、骨角器などのように、地方の特色を備えている。苑内をゆっくりと歩けば、まるで江南の古典円林を歩いているようだ。美しくかつ優れた風情を心ゆくまで安らかに堪能し、絶えず移り変わる世の声に耳を澄まそう。

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自然の声――狼山風景名勝区

広く名の知られた狼山風景名勝区は南通の南の郊外にある。風景区は狼山、馬鞍山、黄泥山、剣山、軍山からなる。西は長江に望み、山と水が隣り合うここは通称五山と呼ばれている。五山の筆頭である狼山は険しく切り立ち、その山影はすらりと美しい。ここには古跡が極めて多く、最も古い記載としては唐代の高僧鑑真が日本に渡った『唐大和尚東征伝』にその名が見られる。

狼山は滔々と流れる長江の末、広々とした大海原の端に佇んでいるため「江海一の山」という名を持つ。山中には千年の風雨の洗礼を経た広教禅寺、山門、萃景楼、圓通宝殿、大聖殿、および葵竹山房、三仙祠、支雲塔などがあり、麓から山頂まで山に寄り添うようにして建物が建てられている。紅柱、黄壁、金色の屋根が青々とした松や柏と引き立て合う様子は雄大にして壮観だ。

毎年、多くの人が仏を拝み、禅の修行を積むために、この地の寺廟を訪れる。道すがら原生態の食材で作った精進料理を味わい、舌に広がる禅の境地を感じてみるのもいいだろう。そのあとは狼山山頂の支雲塔に登ってみよう。脚下には長江が轟々と流れ、木々が生い茂った平野が広がり、遥か遠くに目をやると山水と田園が広がっている。そんな風景を目に入れながら、鳥たちの声に耳を傾けよう。

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水との戯れの声――啓東黄金海灘

東は黄海、南は長江に望む啓東黄金海灘、ここは江蘇省でもっとも早く日の出を見ることができる場所だ。一路勢いよく流れてきた果てることない長江の水は、ここで大海と合流する。朝日が初めて姿を見せると、空が少しずつ明るくなっていく。波に洗われる広大な砂浜が次第に金色に輝き始める様子は煌く宝石のように美しい。南通の生命力に満ちた一日の始まりである。

啓東黄金海灘は平たく広大で、砂はきめ細かく柔らかく、水は清らかで、岸辺を濃い木陰が覆っている。豊富な魚類資源を擁するここでは、海を「眺める」「聴く」「遊ぶ」「食べる」と一体的に楽しむことが可能だ。ビーチスポーツ、ウインドサーフィン、海上ディスコ、クルーザー操縦体験などのアトラクションがあり、とくにルアーフィッシング愛好者にとっては夢の楽園となっている。

夏真っ盛りの時期は喧騒から離れ、啓東黄金海灘に来て波と戯れよう。牛車に乗って特別な海へのドライブを体験したり、バケツを手に貝殻拾いや潮干狩りをしたり、仲の良い友達を誘ってビーチバレーに興じたりしよう。そして歓声と笑い声のなか、海からの贈り物を思う存分に満喫し、生活の詩に耳を傾けよう。

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海からは風が吹き、長江からは心地よい調べが生まれる。そんな江海の街南通は景色と空気が優れているだけではなく、気候も過ごしやすく、心を愉快にしてくれる数多くの音や声に溢れている。さあ、いっしょに耳を傾けてみよう。