美しき東台、自然の偏愛を受ける街

江蘇省の沿海地区に海から生まれた不思議な土地がある。それは東台、自然の格別の偏愛を受け、「黄海明珠」と称さる街である。そこでは果てない海が惜しみなく広がり、空と一つに溶け合っている。海のすぐそこまで森が迫り、木々の海がもうもうと広がり、緑の波が揺れている。豊穣広大な天然の砂浜と湿地を渡り鳥が気ままに旋回している。ここに足を踏み入れると、はるか昔から続く、自生き生きとした自然の息吹が感じられるようだ。そして、その美しい眺めに思わず震撼してしまうのである。

東台はユネスコに「太平洋西岸で唯一汚染されていない処女地」として認定されており、人の手が過度に入っていない。そのため、ここは原始の生態環境が完全に保たれており、天賦という自然の筆によって四季が絵のように美しく描き出される。たとえそれが寒い冬であっても、ここでは力強い美しさと生命力が感じられるのだ。

黄海森林公園

晩秋から初冬の黄海国家公園を神の視点から俯瞰してみよう。まごうことなき黄と緑が辺り一帯を席巻する様子は、色鮮やかな油絵のように美しい。中国沿海地区最大の平原森林であり、面積約10平方キロメートル、森林被覆率は90%に達するここでは、30万本のハコヤナギ、60万本のメタセコイア、40万本のイチョウが季節の流れに染められ、色とりどりの夢の世界を編み出している。早朝、霧が森全体を覆うと、そこは神仙が住まう世界のように静かな境地である。

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森に入ると、葉がざわざわと音を立てながら落ちてくる。濃い赤や黄金色の落葉が蝶のようにひらひらと舞い落ち、季節からの挨拶が積もっていく。森では400種近くの鳥獣が羽を休めたり鳴きながら飛んだりしており、所々でその楽しそうな姿を目にすることができる。40.9キロにもわたって延々と続く湿地エリアは、花卉景観エリアと引き立て合い、森の中にカラフルな絹帯のように浮びあがっている。

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空中桟道を行き来したり、40メートルの高さの「森林の目」に登ったりすると、森林公園全体の美しさを目に収めることができる。暖かい陽光が静かにこの秘境へと降り注いでいる。熟した柑橘の鮮やかな色は、冬の日に最後に残された秋色である。

条子泥湿地

世界最大面積の潮間帯湿地である条子泥では、広大なアルテミシアが編み出す「赤い絨毯」がこの季節限定の美景を見せてくれる。びっしりと群生したアルテミシアは、他の色の植物と自然のコントラストを構成する。まるで「大自然のパレット」のようなその美しさは、思わずこれぞ自然の神業と称賛してしまうほどだ。また、群れを成して跳躍奔走するシフゾウ、群生するアルテミシアの間にある水場で水遊びをするカモやシラサギ、「鳥類のパンダ」と称されているヘラシギも、ここでのんびりとした時間を過ごしている。

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冬季の条子泥は鳥類の「国際空港」として一年中で最も賑やかな時期を迎える。数百種類の鳥が遥か太平洋の彼岸から移動してきてここに泊まり、数万羽で一斉に鳴き、お祭り騒ぎを繰り広げる。潮が満ち、海が啜り泣くと、たくさんの鳥たちが威勢よく飛び回る。その様子はまるで海だ。ここでは満ち溢れる強い生命力の絵巻物が絶えずに描かれているのである。潮が引くと、湿地と砂浜には深さまちまちの「谷間」が刻まれる。それはまるで金色の森のように穏やかで美しく、また大地に刻まれた皺のように歳月の趣を見る者に伝えるのである。

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弶港灘塗 

雄壮で、限りなく広く、美しい砂浜が、雲と波の境界線に存在している。そこには他の砂浜とは違う不思議さがある。潮が満ちるまでは非常に静かだが、潮が満ちるとあっという間に周囲には果てしない水が広がるのだ。冬の日に弶港灘塗で眺める日の出は非常に美しい。清々しい空気に暖かい明け方の陽光、そんな生き生きとした一日を巴斗漁村で迎えてみるのもいい。冬の暖かく心地よい日を浴びながら、素朴で愛しい漁民たちが砂浜で懸命に仕事を始める。網を張って魚を捕まえ、ハマグリを探し、魚を積んで漁から帰ってくる……月並みだが心温まる日常は、そんな一コマ一コマから成り立っているのだ。

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観光客が少ない冬、弶港灘塗にはこの土地ならではの予想外の来客がある。それはフラミンゴ、クロツラヘラサギなどの珍しい鳥類で、彼らはときおりふらっと、その妖精のような姿を現すのだ。餌を漁った足跡と澄んだ鳴き声には力強い生命力が感じられる。また、浅瀬を歩いていると、砂穴に隠れている小さな蟹に出会う。まるで人間と隠れん坊をしているかのようだ。また、桃源郷のような巴斗漁村に足を運び、美味しい料理を味わってみるのもおすすめだ。さまざまな海鮮を煮る香りを嗅ぐと、寒さはたちまち追い払われ、自然の素晴らしい贈り物に心から感謝の念を覚えることだろう。

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