冬季十二時辰、君を連れて江蘇へ

辰時・茶香の朝

辰時は7時~9時を指し、別名を食時と呼ばれていた。その名前の示すように朝食を食べる時間であった。

泰州人は代々、朝にお茶を楽しむ時間が大好きで、家族や友人とおしゃべりから一日を始めるというスローライフを楽しむ文化がある。泰州を訪れるたなら、地元の人と一緒に、昔から変わらない最高の朝の時間を楽しんでみよう。

豆腐干を千切りにし、水煮で沸騰するまで茹で、醤油、砂糖、を加え味付けし、千切り大根とザーサイ、ネギのみじん切りと胡麻油を加えてつくる、とてもシンプルだが非常に美味しい朝食の主役。次に登場するのは魚湯麺で、鮒を使った濃厚な乳白色のスープと手打ち麺の組み合わせが絶妙で病みつきになる。最後のシメは蟹黄湯包、スープがたっぷり詰まっており、カニ味噌と豚肉が味蕾の上で協奏曲を奏でる。

お腹が一杯になったら、お茶で一心地ついて、そろそろ出かける時間になる。

午時・踏雪尋梅

午時は11時~13時を指す、太陽は夏の強烈さを抑え、冬の正午は温かさで包んでくれる。

梅園は無錫市内からさほど遠くない、太湖隣接した場所にあり、梅の木が沢山植樹されている江南の観梅スポットとして有名である。真冬になると、多くの花は枯れてしまっているが、梅だけは寒冬の中に花をつけ、白雪の風景に美しい色を付け加え、淡雅な香りを漂わし厳しい冬の中で人の心に爽やかな癒やしを与えてくれる。無錫梅園には優しい陽光と梅香があなたを迎えてくれる。

末時・自然とバードウォッチング

末時、13時~15時、日は徐々に傾き出す時刻。

塩城湿地珍獣国家級自然保護区では、冬季百万羽もの鳥が北方から太陽を追いかけ越冬に訪れる。全世界に生息する半分以上の丹頂鶴が毎年この場所を訪れ、自由に飛び回るその様はこの自然保護区のみで見られる絶景となっている。

ここで見られる希少な鳥類を鑑賞するには、事前にチケットの予約と履き心地の良い運動靴が必要だ。塩城丹頂鶴湿地生態鑑賞区では、完璧な鑑賞ルートが用意されており、湖に面した竹林の中にある鑑賞小屋から望遠鏡ではあるが、非常に近距離で鑑賞する事が可能。また湿地へのボートツアーもあり、魚やエビ釣りを楽しみながら、飛翔する鳥の群れを見る事が出来る。林と草原に隠れた鑑賞スポットもあり、静かに機会を狙いカメラで仙鶴が飛び立つ姿や、ヘラジカ飛び跳ねる最高に美しい瞬間を撮影する事も可能だ。

酉時・漁船唄晩

酉時、17時~19時の間で、日没の時間となる。揚州高郵湖の日没はまさに絶景。

冬の芦はもはや緑ではないが、その代わりに白い芦花を咲かせ、日没になると白さを一層引き立たせ風に揺れる。夕日の光はどことなく優しさをたたえ、あたり一面を赤く染め、高郵湖の湖面には一面の空が映り、空との境界線は消えていく。遠くには漁民が船一杯の魚を載せて帰路を急いでいる。

高郵湖蘆葦蕩湿地公園は中国六大淡水湖の一つである高郵湖畔にあり、風光明媚な観光地であると共に、採れる多くの水産物も有名な「天然酸素バー」である。夕焼けが地平線に落ちるのを待って、園内にある小さなレストランでここで採れた麻鴨や魚、エビなどの料理を愉しめば、完璧な一日が完成する。

冬になると人は出不精になる事が多いが、思い切って家を飛び出し、自分の足で太陽と一緒に歩いてみよう。十二時辰の江蘇散歩は新鮮で味わい深い体験を与えてくれる。